圭さん日記

放送作家・脚本家、高坂圭のブログ。

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いやー、楽し過ぎる! 「店長がバカすぎて」 早見和真

二年ほどだが、本屋に勤めていた

ことがある。

店長の真似事のようなことを

やっていた。

 

そんな僕にとって、吉祥寺の

小さな書店を舞台にしたこの小説は

超リアルで本を売ることの楽しさ、大変さ、

さまざまなお客さんのエピソードなど

思い当たることがいっぱいで

ときに大笑いし、ときにぐっときて

いやー、こんなに楽しい時間を過ごせた

小説は久しぶりでした。

 

著者の作品は、編集者と小説家の葛藤を描いた

「小説王」や、競馬を舞台にした「ザ・ロイヤル

ファミリー」などを読み、ファンのひとりでしたが、

より好きになりました。

 

最近はカリスマ書店員さんのおかげで

本が売れるということで、出版される前のゲラを

小説家から託され、感想が帯になったりする

時代。

 

この物語の主人公、谷原京子も冴えない毎日を

送りながらも、

「書店員という仕事を、物語と読者をつないで

くれる素晴らしい職業」と思いながら生きている。

だからこそ、

「取り過ぎに注文しても、

大好きな作家の新刊本が一冊も入らないことが

多いから、入荷された本の大切さ、その本を

売ることの大変さを、万引きされることの

心の痛みを身を持って知っている」。

 

本は、書く人、作る人、そして彼女たちのように

売る人がいて初めて人さまの手に渡る。

そんな当たり前のことがいかに大変なことか、

素晴らしいことかをこの小説は教えてくれる。

 

そして僕が一番心に残ったのは、この文章。

 

物語の力のひとつは「自分じゃない誰かの人生」を

追体験できることだ。

いつかそう教えてくれたのは小柳さんだった。

他者を想像すること、自分以外の誰かの立場に

立つこと。

「みんながみんな自分のことしか考えていない

時代だもん。一瞬でも自分以外の人間を想像できる

なら、それだけで物語は有効でしょ?」と

小柳さんははにかみながら言っていた。

 

本が好きな人、書店が好きな人なら

きっと楽しめる小説です。

 

 

- | 04:27 | comments(0) | - | - | - |
今日の言の葉  11/23

ことあるごとに読み返すエッセイが

ある。

山田風太郎氏の「あと千回の晩飯」だ。

もう数十回読んでる。

でも飽きない。

ユーモアと恬淡とした味わいが

たまらない。

 

なかでも好きなのが、「生き過ぎて」という

タイトルで紹介される、武者小路実篤の回。

山田氏は89歳の時に武者小路が書いた文章を

引きながら、一回転ごとに針が戻るレコード

のようなもので、果てしがない、と語る。

でもこれが僕は大好物なのだ。

ということで、武者小路の言の葉。

 

「人間にはいろんな人がいる。その内に実に

いい人がいる。立派に生きた人、立派に生きられない

人もいた。しかし人間には立派に生きた人もいるが、

中々生きられない人もいた。

人間は昔、立派に生きられるだけ生きたいものと

思う。この世には立派に生きた人、立派に生きられない

人がいる。皆立派に生きてもらいたい。皆立派に

生きて、この世に立派に生きられる人は、立派に

生きられるだけ生きてもらいたい。皆人間らしく

立派に生きてもらいたい」

 

……これ、音読してもらうと、すごさが

余計にわかります。

 

- | 00:33 | comments(0) | - | - | - |
その熱量に651P、一気読み。 「風よあらしよ」 村上由佳

常識からはるかに逸脱している

人間、小説に惹かれる。

アナキストの大杉栄、伊藤野枝も

そのひとり。

これまでも二人にまつわる本はたくさん

読んできたけど、村山由佳さんが

渾身の力で小説にしてくれた。

 

先人の作家では寂聴の「美は乱調にあり」

だが、村山さんは持ち前の優しさとセンチメンタル

さがにじみ出て、激しさの中に柔らかさのある

伊藤野枝像になっている。

 

少し長くなるが、気に入った文章を引きながら

この小説を紹介したい。

 

「幼い頃から口減らしのためにあちらこちらへ

やられ、その都度、違った風習や異なる考え方に

さられさてきた」野枝は、

 

「あれが辛かった、これが悔しかった、と一つ

ひとつ話せば話すほど、腹の中で黒々と煮詰まって

いる怒りがいいかげんに薄まってしまうのがいやだ。

いっそこの黒い塊を、石炭を備蓄するように溜めて

おいて、いつか思い切り燃やしてやる。正しく仕返し

をしてやるのだ」と思うほど、熱い少女だ。

 

やがて野枝は、親が勝手に決めた男との結婚を

すぐにやめ、元の担任だった

辻潤と恋に落ち、女として人として目覚めていく。

平塚らいちょうを始め女性の自立を問いかける、

日本初のフェミニズム誌「青踏」にも自ら志願し、参加。

 

そして運命の男、大杉栄と恋に落ちる。

大杉は無政府主義者だが、

「大杉にとって最も大切なのは、主義や運動や革命云々

以前にただ自由であり、精神そのものだ」

と著者は書く。

ここに僕も、右に同じ、という感じで激しく共感。

 

さらに印象的なシーンがある。

喫茶店の部屋の壁に

(お前とならばどこまでも 栄)と落書きした

大杉に対し、

(市ヶ谷断頭台の上までも 野枝)と隣に書きつけた。

「かかしゃん、うちは……うちらはね。

どうせ、畳の上で死なれんとよ」と

母に告げた野枝の激しさがとてもよく出てるシーンだ。

 

人間的にも思想的にも決して褒められた二人で

はないが、少なくとも

貧しき側に立ち、死ぬまで闘った足跡は心を打つ。

 

作家が己の技術を駆使し、魂を込めた書いた一冊と

いうのがある。

たとえば中上健次なら「岬」、梶井基次郎なら「檸檬」。

 

村山由佳の「風よあらしよ」はまさしく、そんな熱量を

感じる一冊だ。

 

 

- | 17:36 | comments(0) | - | - | - |
大腸がんになって1年。内視鏡検査の結果は

検査の方と内視鏡を入れられ
ながら、一緒に画像を見て
話し合う。
「ガン再発ないよね」
「大丈夫ですよ。ポリープが
ひとつあるので切っておきますね。
良性ですから安心を」
ということなので、後日詳細を
見ないとわからないけど、なんとか
1年目はセーフだったと思います。
ふー、ひと安心。

 

1年前は同じ状況で
「あー、高坂さん、お腹痛い理由わかりました。
ガンです」と明るく言われた。
僕も画像見ながら、「これ結構ひどくない?」と
軽口を装って問いかけると
「悪いねー」。

 

それにしても、今日も自分のバカさ加減に
呆れた。
というのも、大腸をきれいにするために
下剤などを飲み、便が透き通るまでに
ならないと検査はできないんですが、
七人ほどいた患者さんの中で僕が
一番最初に便がきれいになったのです。
すると看護師さんが、「わぁーキレイですね」と
一緒に便を見ながら言ってくれたのが
嬉しくて、頭を掻きながら、僕は
「あ、どうも。ありがとうございます」だって。

 

ほんと、オレ、バカだねー。

- | 19:14 | comments(0) | - | - | - |
今日の言の葉 10/18

マエストロ、パーヴォ・ヤルヴィ率いる

N響の9番を聴いた。

もう、かっこいいの一言。

 

ベートーベンが作曲したときの曲の速さと

オーケストラメンバーの人数にこだわった演奏。

 

ということで今日の言の葉は、彼の一言。

 

やっぱりものを作るというのは

自分のためではなく

だれかを勇気づけたり喜ばせたり

世界をよりよくするための

行為だと思います

 

パーヴォ・ヤルヴィ 指揮者

 

https://www.youtube.com/watch?v=s5Ezdc4z1ZM&t=569s

 

 

- | 12:20 | comments(0) | - | - | - |

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