圭さん日記

放送作家・脚本家、高坂圭のブログ。

<< June 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
高坂圭のホームページ
  • 高坂圭のホームページリンク
ARCHIVES
RECENT COMMENT
MOBILE
qrcode
PROFILE
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
ハードルを越えた笑える話

面白い話をするときに一番してはいけないことは、「面白い話があるんだよ」と前フリする。
これは、ハードルが上がりすぎてダメですよね。

でも僕はこの前フリを一週間前から聞いていました。
その前フリを伝えてくれたのは、馴染みのジャズ喫茶
のママとマスター。


「あのね高坂さん。Jさんが(店の常連の米屋・63歳)面白い話があるんで
ぜひ高坂さんに聞いて欲しいって言ってるんよ。私たちが
いま聞かせてよっていっても、ダメ、あんたに伝えるまでは
イヤだっていうのよ。多分大した話じゃないと思うけどね」

そこまで言われたら(あ、この話長くなりますよ。イヤになったらこの辺で止めてください)、
Jさんの話聞きたくなりますよね。で、すぐ連絡して、今夜主役が登場したのです。
ハードルが高かったにも関わらず、この話はめちゃくちゃ
面白かったのです。

 

物語の始まりは、Jさんの彼女が、家族同然にしていた犬が亡くなったことからです。
それまで、愛犬に比べれば、彼女の心に占めるJさんの位置がひとランク低いと
思ってた彼は、愛犬が亡くなったことで少しあがった。
だったら、彼女を慰めなきゃいけない。今の自分になにができる。
そう考えたJさんは、
 身体で彼女とコミュニケーションを取ろうと決意。
しかし、いま彼は男としてイマイチの状態。そこで昔から
、いざカマクラと思っていた病院へ直行(自分の家からバス停
 7つ先ぐらい)。

 

受付にはきれいな女性。「どうされました」。言われて躊躇したが、
ここは病院。照れるのはおかしいと思い切って、
 「あの、勃起不全なんですけど」
すると受付、「はぁー……ちょっと待ってください」
いったん先生の部屋らしきとこに入り、出て来て一枚の紙を差し出した。
 「うちではその診察は出来ないので、この病院に行ってください」

仕方がないのでJさん、また違う病院へ。


そこはさっきに比べれば明らかに立派なところで
受付も3人ぐらい。
なかでも一番きれいな受付嬢が、
 「どうされました」
 彼は言う。
 「あの、勃起不全なんですけど」
 受付嬢、「はぁー」
でもなんとかOKだったらしく、医者に会えた。

「先生、バイヤグラが欲しいんですど」
 「あ、そうですか。わかりました。でも一応の検査を
しなければ渡せないので。ところでどこか悪いところはありますか」
 「…いや、ないです」
 「あの、それじゃ保険対応にもならないので、一応病気の心配で来たと
いうカタチにしてもらっていいですか。たとえば時折胸が痛くなるとか」
 「ああ、じゃあそうしてください」
そんなやりとりの後、血液検査からもう少し入念なチェックをしたら、
3日後電話がかかってきて
「あなた、すぐ来なさい。糖尿病で大変なことになってるよ。
 心臓にバイパス通す手術しなきゃいけないよ。専門医紹介するからそっちに行きなさい」

 

Jさんは思った。愛犬を失くした彼女のためにせめて、気持ちいい時間を共有しようと、
そのための支えとしてバイヤグラをと願っただけなのに、
いつのまにか人の生き死にの話になってる。いかん、これはいかん。
彼はあせり、紹介された専門医のもとへ。

 

この病院が立派で今までよりもさらに大きかった。
受け付けは8人。順番待ちをし、やっと
「どうされました」と聞かれたので
Jさんは懲りずに「あの、勃起不全なんですけど」
 受付、「……」のあと、医者のもとへ。

 

Jさん医者の前で、「あの……」
 医者、「ああ、わかってます。大ごとになってますね。とりあえず精密検査しましょう」
彼はそう言われて、2時間近く調べられた。
結果は「あまり良くはないけど、命に別状はない」

でも医者は言った。
 「だからといって安心はできませんよ。なにしろ、胸が痛いという自覚症状があるんですから」
 「いや、そ、それは」
Jさんは思った。
 「ぼくはバイヤグラが欲しかっただけなのに……」
でもそれを口にすることはなかった。
もうこれ以上、勃起不全、という言葉を連呼したくなかったからだ。

- | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
コメントする









 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://blog.kousaka-kei.net/trackback/1049700
 

(C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.