圭さん日記

放送作家・脚本家、高坂圭のブログ。

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やっぱり、吉行淳之介

今村昌平を読み終え、改めて村松友視の人物評伝に
感心し、市川雷蔵、トニー谷などの本を購入。
                               
今日再々読した「淳之介流 やわらかい約束」も
そのひとつだ。
僕は吉行の大ファンで、鋭い観察眼、感受性、予感力、
そして理屈ではない、ビジュアルと生理的な視点で
文章を描く美意識に、ずっと敬意を抱いてきた。
                               
この本はそんな人間、吉行を、八丁堀のダンナに見立て、
村松目明しが、元編集者というつきあいの歴史の中で
浮き彫りにしていく。
                               
なかでもすごいと思ったのは、本のタイトルにもなって
いる「やわらかい約束」。
村松が対談の依頼をしたときに吉行は、「うーん」と
うなってから、「じゃあその対談のはなし、やわらかい
約束にしておこうか」と答えたという。
                               
村松は、この「やわらかい約束」なるものに、
吉行の本質の芯と関わっている。と書く。
                             
人との距離感、あからさまな拒否を見せない優しさ、
気配り。そしてやっかいな自己愛を抱えているがゆえの
ダンディズム。
                                   
さらに秀逸なのは、
女優宮城まり子と妻との間を揺れ動いた時期を
小説にした「闇のなかの祝祭」を、スキャンダルに
扱われるとわかっていながら、なぜ書いたのかと問われた
吉行の答え。
                              
「そのね、作家というもんは、このケースでは右往左往
 している自分というのをどこかで見ているわけよ。
 で、ああ、これはいいデータだなあと思うわけ、その
 分の姿を。

 

 たとえば夜中じゅう籍入れろ、籍入れろって
 『要請』している女と車でぐるぐる走りながら言い争って
 いつまでも片がつかなくって、明け方、パン工場の
 イースト菌が醗酵して、甘酸っぱい匂いがプーんとして
 くる。これなんか物悲しい感じでね、
 そういうのを嗅ぐと、このディティール、書きたいと、
 おもところもある。

 そのときはもう、自分が第三者になっているわけですよ。
 だから、自分の自分の眼で外側から見ている手柄は
 あるかもしれないと思うんだ。


 あの作品は読み返すのが鬱陶しくて、ずっと敬遠して
 いた。今回、気を取り直して、ゆっくり手を入れて 
 みたんだけど、自分でおそれていたよりずっと良く
 書けていた(笑)」

 

 

 わかるなぁ、この感覚。
 今まで一度も女性のことを書いたことがないんだけど、
 そろそろ僕も第三者の目で、これまで出会った人たち
 のこと書いてみようかな。

 

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