圭さん日記

放送作家・脚本家、高坂圭のブログ。

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もっとエロスを。 「サロメ」 原田マハ

19世紀のロンドンを舞台に
悪名高い作家、オスカーワイルドと
夭折の画家、オーブリー・ビアズリーの禁断の
関係を描く物語。
 
ヒューマニズムに満ちたいつもの著者の作品とは
一線を画し、芸術の持つ妖しさ、猥雑な世界を
書いているが、うーん、僕には少し物足りなかった。
もっとエロティックに、もっとめちゃくちゃさを
描いて欲しかったかな。
でもこのシーンは素敵でした。
 
ビアズリーの姉で女優のメイベルが、ワイルドに
惹かれていく弟にいう。
 
「オスカーワイルドの言いなりになってはだめ。
彼は、あなたを自分の思い通りに踊らせようと
している。
……それがあなたにはわからないの」

 オーブリーは、暗い炎が点ったまなざしで姉を
見つめていた。そして、諦観したように、
「わかっているさ」と、もう一度言った。
「だけど、僕はもう決めたんだ。……あいつと組んで、
世界をひっくり返すって」

ーこの私と組んで、世界をひっくり返してみないか?
 自分たちこそがこの世界の覇者。すべてをひっくり
返し、蹂躙し、めちゃくちゃにして、黴臭い女王陛下
のご治世に唾してやろうじゃないか。

 我ら芸術家を鼻つまみ者として扱い、美しく奔放な
「自由」に手かせ足かせをつけて、「道徳」という名
の牢獄につなぐ。それがこの腐りきった国の芸術家に
対する制裁だというなら、やり返すまでだ。

 私はとっくに覚悟している。罪人になることを。
なぜなら、あらゆる芸術は不道徳だからだ。
 真の芸術家になりたければーいいかい、オーブリー、
君がオーブリー・ビアズリーというその名を世界に
轟かせたければ、そして芸術の歴史にその名を永遠に
残したければ。
 
 君がやるべきことは、たったひとつ。
 地獄に落ちることだ。−この私と一緒に。

「……だから僕は決めたんだ。地獄に落ちるって」
 そう言って、オーブリーはうっすらと笑った。
曇りのない微笑だった。

 

 

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