圭さん日記

放送作家・脚本家、高坂圭のブログ。

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二度目の読了。 「ひりつく夜の音」 小野寺史宜

いつの頃からだろう。
同じ小説を読み直す楽しみを
覚えた。
この作品もそう。 

主人公は46歳独身、プロのジャズ
クラリネット奏者。
演奏への情熱は薄れ、今は音楽教室講師の
僅かな収入で過ごしている。
そんな日常に現れるギタリストの青年。
彼は、昔愛した女性と同じ名前だった……。
 
というようなストーリーだが、この小説、
フリーランスで生きる中年男の日常が細かく
描かれていて、そこがとてもいい。
時折さりげなく書かれるアフォリズムも
なかなか渋い。
 
たとえば、こんなフレーズ。
「一般論は正しい。一つ一つを見ていけば、
どれも正しい。だがそれですべてを乗りきって
いけるわけではない。そのすべてに自分を寄せて
いけるわけでもない。一般論に頼りきる人たちは
そこを考えない。絶対的な正しさに、どこまでも
頼りきってしまう」 
 
うーん、わかるなぁ。
会話もいい。同じブラスバンド部にいた
高校の同級生(女)に30年ぶりに会った場面。
 
「クラリネットも、相変わらずうまかった。
素人がプロの人にうまいなんて言うのも失礼だけど」
「でも、もう伸びしろはないよ」
「そんなことないでしょ。楽器演奏は技術だけじゃないし。
ってやっぱり私なんかが偉そうに言うことでもないけど。
ただ、伸びなくても、ふくらむことはあるんじゃない?」
「ふくらむ?」
「豊かになるっていうか」
「豊かに」
    
いいでしょ。こんなこと言ってくれる女性に会ったら
一発で惚れてしまいますね。
ほんとせめて豊かになっていきたいもんですね。

 

 

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